8月は福島の月だとこじつけてみる。

さとうまき

個人的には、サッカーが好きというわけだが、というよりは、イラクの支援をやっているうちにどうしても避けては通れないのがサッカーだった。なので、イラクのサッカーを応援するのは、9割は仕事だと思っている。

6月のワールドカップ予選、イラク vs 日本戦がイランで行われ、何と40℃近い日中に試合をするなんてことはあり得ないのだが、日本もバテバテ。でもイラクの選手も同じくらいしんどかったはず。試合はズブズブの戦いになり1-1で引き分け。こういうワイルドな試合も見てて面白かった。ただ、TVで暑い、暑いといってもなかなかその暑さは伝わらない。

僕は、その試合が終わってすぐに、イラクのアルビルに行ったが、これまた暑く、とうとう日中は55℃にもなってしまった。こうなると息をするのも苦しいし、耳に熱風が当たるとひりひりする。おまけに公共の電気がとまる。すると、自家発電を皆が動かすから、この排気ガスでさらに気温は上昇。しかも、個々が自家発を回し、蓄電されないから、こんなに電気効率が悪い冷房が使えるくらいのアンペアのある発電機を入れるのに300万円近くする。そして、動かすための燃料も結構高い。ならばソーラーとかもっとそういうエネルギーをまともに考えればいいのに。

さて、8月31日、今度はオーストラリアとの対戦。これに勝てば日本がワールドカップに出場できる。しかも日本での試合だからもっと盛り上がるはず。オーストラリア、うーんあんまり縁がないなあ。これは、1割すらも仕事にできないなあ。
「オーストラリアに移住したイラク難民の今は?」みたいな特集?

最近は、オーストラリアの難民政策がひどいことが有名になっている。「豪州には住まわせない」という方針で、海上で拿捕された船に乗っている難民認定申請者は、そのままパプアニューギニアのマヌス島かナウル共和国に連行され、そこに作られた収容所に入れられる。そして、そういった収容所では虐待がおこなわれているというのだ。そもそもナウルっていう場所は、オーストラリアがリン鉱山に目をつけて掘るだけ掘って滅茶苦茶にしちゃってどうしようもない国になっちゃったらしい。それでオーストラリアはその責任を感じ、お金を払って難民を収容してもらっているということらしい。

しかし、任せたナウルの人たちがこれまた荒んでいるらしく、難民の管理がめちゃくちゃ。性的暴力とか虐待で、人権問題になってしまった。オバマ大統領が離任直前にオーストラリア政府と合意して、収容所から、イランやシリア、イラクといった難民を1250人引き取り、代わりに、アメリカの中南米の難民と交換するというなんだかよく分けのわからない取引をしたらしい。

ヨルダンで知り合ったイラク難民のランダちゃんを思い出した。彼女らはヨルダンでオーストラリア政府の面接を受けて合法的に難民として、2006年に移住したのだ。そのような合法的な難民は、毎年1万人くらいいるらしく、シリア内戦が始まってからはその枠が2倍ほどになっているから、オーストラリアにいる分には寛容な国に見える。

早速フェースブックで呼び出してみる。
「元気?」
「こんどさー日本とオーストラリアが試合するけどさ、どっち応援する?」
「日本!」
「お世辞言わなくていいから」
「だって、今のチームは好きでないもん」

というわけで、ランダは、すっかり女子大生になっていて、学生生活をエンジョイしていた。5歳の時から知っているので、それだけでうれしくなってしまい、ナウルの難民問題とか切り出す感じではなかった。

オーストラリアは日本人にとっては、人気のある国の一つ。友好姉妹都市もたくさんある。そこで調べてみると、福島の大熊町といわき市がバーサスト市とタウンビルズ市とそれぞれ姉妹都市を結んでいる。

うん? オーストラリアは、ウラン鉱山で有名で世界1の埋蔵量だといわれている。日本のウランの輸入先のNO1がオーストラリアなのだ。そして福島原発事故。オーストラリアは、日本が脱原発なんてなってしまったら一番困る。でも、オーストラリアには、原発がない。友人のオーストラリア人に聞いたら、「原発やれば核のゴミが出る。その捨て場がない。そしてそもそも原発はコストがかかりすぎる。住民の反対運動で、原発はできなかったんだ」と教えてくれた。

先日、国連で核兵器禁止条約ができたのに、日本も、オーストラリアも参加せず。きな臭い友好関係だ。オーストラリアは、核実験やウラン鉱山からヒバクシャを生み出し、広島、長崎は、核爆弾の犠牲になった。そして福島は原発の犠牲に。

それらの市民たちが友好的にもっとつながり、きな臭い友好関係にくさびを打つ必要がある。というわけで、8月は日本にいて、福島を行き来しいろいろこじつけて仕事をしてみるつもり。